深まる秋に、キャリアを支える「心の健康」を考える ~キャリア支援とメンタルヘルス~

まだまだ暑い日が続いている中で、ようやく秋風を感じられるようになってきました。

夏を乗り越えた身体と心は、実は知らず知らずのうちに疲労を蓄積しているものです。

今回は、「秋のメンタルヘルス」について書いてみようと思います。

「10月病」や「秋バテ」という言葉を耳にすることが増えました。
これは、医学的な診断名ではありませんが、新年度から半年が経ち、夏の疲れがピークに達するこの時期に、多くの人が心身の不調を感じることを言い表しています。

私も前職で人事を担当している際に、10月になるとどっと診断書が出てくるのを経験し、9-10月にメンタルヘルス研修を行うように工夫していました。

なぜ秋にメンタル不調が増えるのか?

この現象は、単なる気の持ちようではなく、複数の要因が複雑に絡み合って起こる、生理的・社会的ストレスの複合作用として捉えることができます。

生理的要因:夏の「暑さ負債」と季節の変化

あつい、、、、

本当に今年の暑さは異常でしたね。

夏場の猛暑は、私たちの自律神経に大きな負担をかけます。この「暑さ負債」が解消されないまま秋に突入すると、急激な気温や気圧の変化に対応しきれず、自律神経が乱れやすくなります。

頭痛や倦怠感、胃腸の不調といった身体症状に加え、気分の落ち込みや集中力の低下といった精神症状も引き起こされます。さらに、日照時間の減少は、脳内のセロトニン(幸せホルモン)の分泌を低下させ、メラトニン(睡眠ホルモン)のバランスを崩すため、睡眠の質が下がり、心身の不調につながります。

社会的要因:節目に訪れる適応の壁

クライエントを支援する際、この「時期」が持つ社会的文脈を理解することが非常に重要です。

新社会人:4月入社の場合、10月はちょうど半年が経過する節目です。入社当初の緊張感が薄れ、実際の業務や人間関係の継続的なストレスに適応しきれず、適応障害のリスクが高まる時期とされています。

学生・受験生:夏休み明けは、受験に向けた本格的な勉強が始まる時期です。成績の伸び悩みや周囲との比較から、「自分だけがうまくいっていない」という強いプレッシャーを感じ、精神的な負担が増大します。

これらの生理的・社会的要因が重なり合うことで、心身ともに「脆弱な期間」が生まれるのです。

キャリアコンサルタントとして、今、できること

キャリアコンサルタントとして、私たちはこのようなクライアントのサインを見逃さず、適切な支援につなげる役割を担っています。

気づきの促しと傾聴:

「最近、よく眠れていますか?」「食欲はありますか?」といった具体的な質問は、クライアントが自身の不調を客観的に認識するきっかけになります。不調を訴えるクライアントに対し、焦って解決策を提示するのではなく、まずはその気持ちに寄り添い、じっくりと傾聴することが何より大切です。

セルフケアの具体策の提示:

専門家として、科学的根拠に基づいた具体的なアドバイスを提供しましょう。例えば、朝の散歩は、日光を浴びて体内時計をリセットし、セロトニン分泌を促す効果があることを伝えたり、セロトニンの原料となるトリプトファンを多く含む食品(バナナ、大豆製品など)の摂取を勧めたりすることも有効です。

組織への提案と連携:

企業に属するクライアントの場合、組織側の支援も不可欠です。「ラインによるケア」の重要性(上司が部下の変化に気づき、声をかけること)をクライアントに伝え、必要に応じて産業保健スタッフやEAP(従業員支援プログラム)の活用を促すことも、私たちの重要な役割です。

信頼関係を築く第一歩として

キャリアコンサルティングの場は、多くの場合、クライアントが自らのキャリアや人生について深く内省する時間です。このようなデリケートなプロセスを支える上で、クライアントの心身の状態を全体として捉える視点は欠かせません。

皆さまは、クライアントとの面談で、どのような「心のサイン」に気づいていくでしょうか?そして、どのように寄り添い、支援しましょうか?ぜひ、更新講習に学びにお越しください。

キャリアコンサルタント更新講習

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