キャリアコンサルティング実践!「スケーリング・クエスチョン」を面談で効果的に使うポイント

こんにちは。ビヨンド・ワーズの越です。

日々の面談で、クライエントの状況を客観的に把握したり、具体的な行動を促すためにはどう関わればいいのだろうと感じることはありませんか?

私がブリーフセラピーを本格的に学びはじめたのは、2016年でした。

学び始めて衝撃的だったのは、今までなんとなく、見様見真似で使ってきた言葉が、実は技法として、しっかりとした目的・根拠があることです。

1年くらい、京都支部と大阪支部に通い、なんとかブリーフセラピストの資格がとれました。

ブリーフセラピーを学ぶことで、キャリア面談の質がどんどん上がっていくのを実感しました。それだけ、強力な技法が多いのです。

今回は、ブリーフセラピーの解決志向アプローチ(SFA)の多々ある技法のひとつである「スケーリング・クエスチョン」を、実際のキャリアコンサルティング面談でどのように活用すれば良いか、そのポイントをご紹介します。

スケーリング・クエスチョンとは?

スケーリング・クエスチョンとは、クライエントの感情、状態、進捗度などを数値(例:0~10点)で表現してもらう質問技法です。これにより、漠然とした状況を具体的に把握し、クライエント自身の内省を深め、解決に向けた具体的なステップを考えるきっかけを提供します。この技法は、特に「キャリアコンサルティング実施のために必要な能力体系」における「意思決定の支援」の中の「具体的な目標設定への支援」を実施する際に有効です。

面談でスケーリング・クエスチョンを使う3つのポイント

ポイント1:適切な基準を設定し、クライエントの「今」を数値で測る

スケーリング・クエスチョンを用いる際、まず重要なのは、クライエントが自身の状況をイメージしやすい「基準」を明確にすることです。「最も困っている状態を0点、完全に解決している状態を10点」という具体的な尺度を設定します。

  • 現状の把握: まずは、クライエントが現在どの程度の「点数」だと感じているかを尋ねます。
    • 例:「今のあなたのこの悩みや気持ちを点数に例えて、最も酷かった時を0点、最も良い時を10点だとすると、現在は何点だと感じますか?」
    • この質問で、クライエントが自身の状況を客観的に見つめるきっかけを提供します。
  • 「望ましい状態」の明確化: 次に、クライエントが理想とする状態や、少しでも良くなった状態を数値で示してもらいます。
    • 例:「もしこの問題が解決した状態を10点とすると、何点まで上がれば、あなたにとって『よし、これでやっていける』と思えるでしょうか?」
    • この問いかけにより、クライエントの「解決への方向性」や「達成可能な目標点」を引き出します。

ポイント2:点数の「理由」を詳細に訊ねて、リソースと小さな変化を発見する

スケーリング・クエスチョンは、単に点数を聞くだけで終わりません。その点数をつけた「理由」をさらに具体的にすることで、クライエント自身が気づいていない強みや、過去の成功体験、そして今後の解決に繋がる小さなヒントを見つけ出すことができます。

  • 「なぜその点数なのか?」の問いかけ: クライエントが特定の点数をつけた具体的な理由や、そのように感じる要因を詳しく尋ねます。
    • 例:「その点数になったのは、どのようなことからそう思われましたか? 何がその点数に影響していますか?」
    • これにより、問題の背景にある具体的な要素や、クライエントの現状を構成する要素を明らかにします。
  • 「1点でも良くなるには?」の問いかけ: 現状の点数からわずかでも上向くために、何ができるかをクライエント自身に考えさせます。
    • 例:「もし今の状態がもう1点上がるとしたら、それはどんな状態でしょう? そのために、今から何か小さなことでもできることはありますか?」
    • この質問は、クライエントに「解決に向けた具体的な行動」を促し、自己肯定感を高めることに繋がります。

ポイント3:解決の方向へ焦点を当て、ポジティブな側面を拡大する

ブリーフセラピーは、問題の原因よりも「解決」に焦点を当てることを重視します。スケーリング・クエスチョンを用いることで、クライエントが既に持っている「できたこと」や「望ましい未来」に意識を向けて貰います。

  • 例外の質問: 問題が常に同じ点数ではないこと、つまり「例外的に良い時」があったかを尋ねます。
    • 例:「普段は5点だとおっしゃいましたが、これまでにもう少し点数が高かった時、例えば6点や7点だと感じたことはありませんでしたか? その時は何が違いましたか?」
    • 例外を見つけることで、問題が常に存在するわけではないこと、そして解決へのヒントが既にクライエントの中にあることを示唆します。
  • 未来に向けた質問: わずかな変化でも良いので、未来に向けた希望や期待を問いかけます。
    • 例:「もしこの問題が解決して今より1点あがったら、あなたの生活はどのように変わるでしょう? 誰がその変化に最初に気づくと思いますか?」
    • ポジティブな未来を具体的に想像させることで、行動へのモチベーションを高めます。

まとめ

スケーリング・クエスチョンは、クライエントの状況を客観的に把握し、小さな変化を促し、解決に向けた具体的な行動を引き出すための非常に強力なツールです。ぜひ、これらのポイントを意識して、日々のキャリアコンサルティング面談で活用してみてください。あなたの支援が、より効果的で実り多いものになることを願っています。

余談ですが、私がブリーフセラピーを学ぶきっかけを作ってくださったのが、弊社の更新講習でブリーフセラピーを担当頂いている中村先生です。めちゃくちゃ勉強家で「こっしー、これ面白いよ!」とそそのかされて受講しました(笑)

そういえば、キャリアコンサルタントの資格をとったのも、中村先生の勧めでした。

良い指導者と出会えると、人生の選択肢も広がりますね!

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